クリスマス

だからといって、予定はなにもない。若い男女がきゃっきゃむふふ、と聖なる夜もとい性なる夜を過ごす。彼女いない歴=年齢の私にはそれがフィクションの世界の出来事としか認識がない。毎年この時期を迎えても、何の感情も抱かない。世間が赤緑のクリスマスカラーに染まっているのを、冷ややかな目で見ている。

若い頃、この聖夜に対して根拠のない淡い期待は確かにあった。クリスマスというだけで、可愛い女の子と無条件で甘い一夜を過ごせると。彼女などいないのに。何がどう転べばそんな青天の霹靂が起きるというのか。サンタの代わりにコスプレをした淑女が煙突から会いに来てくれるとでも言うのか。そもそも私の家に煙突など無い。

今日新たに命を享受するクリスマスベイビーはそう少なくないのだろう。10月に産声を上げた私もそのうちの一人の可能性はある。